朝、松本の町を散策してみる。今回の旅はこれまで書いてきた通り松本から1時間弱ばかり車で走った大町をメインに回ってきたのでいかんせん松本市内を見る時間が殆どといっていい程ない。
しかし前日あちらこちらへと動き回ったにも関わらず、この日はうまい具合に朝早く目覚めてくれたので、折角ならと、散策がてら宿から30分ばかり歩いたところにある松本城へ向かう事とした。
朝早く(と言っても6時ちょっと過ぎくらい)の為か松本の町はまだほんのりと薄暗く、さぁこれから町も目覚めるぞという様相を呈していた。
松本の町は京都や札幌と同じように碁盤の目造りになっているので、分かりやすい。宿を出て只管北上、それでどうやら城まで到着しそうだ。
という感じでもあるのだが、途中何やらガマガエルのオブジェを発見。説明を読むとどうやら東京藝術大学の学園祭で制作されたものをそのまま譲り受けたらしい。そしてこのガマガエルのところで右に折れると何とも素敵な古民家が立ち並ぶ通り、そして近くには神社もあったりで折角なのでお参りしてきた。
通りはどうやら縄手通りというらしくちょっとした高山の旧い通りを思い起こさせてくれたり。早朝だった為か誰も歩いておらず、それはそれでのんびり散策できて良かったのだけど賑わった中、色々なお店に寄り道しながら散策するのも面白そうだなとも思ったり。
- まぁそれはまたの機会のお楽しみ、という事で。
色々と逸れてみたい横丁もあったりだったけど、この日も後ろの予定が詰まっていることもあり、早々に縄手通りを抜け、道を軌道修正しつつ北上 - と、大町で七倉ダムを見た時のようにここでも城が忽然と目の前に姿を現した。
朝焼けに映える漆黒の黒、その上を今まさに飛び立った烏の群れ- 城を見てもこれまであまり感動した事はなかったのだけど、何だろう、このお城は素晴らしかった。
城の向こうには北アルプスの雪に覆われた山々が遠くまで見渡せ、何とそこには昨夜からの月も出ている。これ以上は無いと言うシチュエーション、今日はいい日になりそうだ。
とまぁ話が前後してしまうのだが、この日はこのあと北アルプス国際芸術祭の2日目に出掛けてた訳で(その時の模様はこちら)、話はここから飛んで最終日の3日目 -
- 本来なら松本市美術館にでも行きたかったのであるが、残念ながら2022年4月まで改修工事で休館中、という事で、諏訪大社へ行く事にした。
諏訪大社と言っても4つも社があり、この日のお昼には、あずさ号に乗って帰る事を考えると4つ全て回るのは無理そうだ。そこで今回は上社の2つ - 前宮と本宮 - を巡る事にした。
私の地元でも”お諏訪さん”と呼ばれて親しまれている諏訪神社 - 長崎市内では(多分)1番大きい神社 - そして何と言っても私の家から歩いても行ける距離、そして高校時代はたまに帰り道に通っていた位わたしには馴染みがあり(因みに初詣も毎年諏訪神社へ)、その本家本元に行くという事でこれから、そして来年に向けてご利益がありそうだ。
最初、上社前宮へ。
まず一目見て、何だろう、びびっと感じるものがあった。古式ゆかしいとでも言おうか、その佇まいからタダならぬ雰囲気を神社全体から漂わせている。私が普段知っている地元の諏訪神社とはちょっと違った雰囲気がある。
それにしても銀杏の黄色い葉っぱが綺麗なこの季節、時期的にはグッドタイミングではなかろうか。境内はやや勾配があり坂や階段を上がりながらの参拝となる。
一旦鳥居をくぐると割りと長閑なともいうべき田園風景が広がっている。人家なんかもちらほらお見受けするが、こんなところに居を構えるというのも何だかとってもありがたいなぁとか思ったり。
そして本殿の横に御柱を発見 - 御柱際は諏訪でも有名なお祭り(大勢の人達が柱に乗って急な崖を下っていくというあのお祭り)だけど、その御柱は本殿建て替えなど実際に使われるのではなく、本殿の回りに4本、お祭り後に立てられるそうである。
お祭りも実際にいつか見てみたい気もするが、先ずは御柱そのものを拝見、これも何だかいい経験になった。境内には所々にさらさらと伏流水も流れており、口に含むと超軟水の味でした。
天気が何だか怪しくなってきた。さて、天気が本格的に崩れる前に上社本宮へと向かおう。
鳥居の構え、そしてその横の大石に書かれた”諏訪大社本宮”の文字なんかを見るとこちらは長崎の諏訪神社に通ずるものがある。
長崎の諏訪神社の場合、鳥居をくぐり約200段の階段を上がって本殿まで行くのだけど、ここではさすがにそう言う事もなく本殿までは僅かな距離。本宮というだけあって、厳かな感じはどことなしに出雲大社にも通ずるものがあったりで、今の時期、丁度七五三参りの時期でもあり、拝殿では七五三のご祈祷なんかも行われておりました。
さて、今日のイベントはこれにて終了だ。電車までまだちょっと時間があったので、最後は諏訪湖畔にある片倉館の千人風呂に浸かって帰ることとした。
龍伝説というか龍信仰のある諏訪大社 - お参りの力が効いたのかここから片倉館までの道中(というか車中)、どしゃ降りになってきた。せめてもの救いは2社の参拝が終わってから降り出した事だ。
片倉館は映画テルマエロマエのロケにも使われていたらしく、大正ロマンというか昭和レトロとでもいうべきシックな建物だ。
早速入館、そして千人風呂と呼ばれる湯船に入ろうとすると・・・「おおっと」と声が出る位深く、私の鼻先位まで一気に浸かってちょっとビックリしてしまった。
造りは何だか群馬県の四万温泉のようで、泉質がとてもよく気に入ってしまった。常日頃から私は道後の湯が1番と吹聴しているのだけど、ここ千人風呂は道後にも負けず劣らずの名湯でした。
館内には展望室もあって諏訪湖が一望できるらしいのだが、折しもの雨で絶景は広がっておらず、しかし、窓の外に色付いた紅葉が広がり、季節は一歩一歩とやはり進んでいるのだなぁと感じさせてくれ、松本・大町・諏訪紀行、これにて終了 - 。