東京駅近くの三菱一号館美術館へ
実はここを訪れるのは今回お初である。存在自体は当然ながら知っていたのだが、なかなか行く機会がなかったので、今回の「開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展」がタイミングよく開催してくれていて、行く機会を得る事ができてよかった。 - 何と言ってもここにはあの、オディロン・ルドンの「グラン・ブーケ」があるのだ。これは前々から実際にこの目で見てみたいと思っていた作品の1つである。
今回の展示は1894年を軸にオディロン・ルドンともう1人の作家トゥールーズ=ロートレック、そしてその時代に活躍していた作家たちの展示だ。この2人の他にも沢山の作家の作品を見ることが出来たが、その中でも私はどうやら最近、スイスの作家、ヴァロットンが好きなようである。彼の何とも言えぬシュールな、そしてちょっとばかし不気味とも言える作品にグッと来るものがあり、今後どこかで彼の展示があるようであれば、是非足を運びたいものである。
さて、ロートレックは昔からうちの姉が好きだったという事もあり、(確か昔、姉の部屋にロートレックのポスターも貼ってあったような。)そんな訳で割りと私の中では身近な作家でもある。そして片やルドンである。こちらの作家は然程知識がある訳ではないが、確か50代位までモノクロの絵しか描いていなかったのに突然、カラフルなパステル調になり、、という程の知識で、以前目にしたモノクロの絵画はとても不思議で、蜘蛛に顔が書かれているような絵なんかはどうも、フランツ・カフカの「変身」をイメージさせ、この小説の装丁にぴったりだ、何て勝手に思った事もあったり。 - 要はカフカ同様何だか不思議な存在を漂わせる作家と言うか絵画というイメージであった。
さて、順を追って各部屋でそれぞれの作品を見て(上述した不思議な蜘蛛の作品もあった。しかもこの作品がグラン・ブーケを見る前にあったのが尚良かったのかもしれない)、暗闇の部屋に入るとそこにグラン・ブーケだけがあった。高さは248.3cm、私はこの作品を勝手に130cmか150cm位の大きさ - 要なちょっと大きな花瓶に花が生けられている実際に世の中にあるような大きさ - と想像していたので、その大きさにまず驚いた。
そして何よりも私がこの部屋に足を踏み入れた時には他に鑑賞者が1人しかおらず、しんとした暗闇の中に佇むカラフルなパステル調のグラン・ブーケ、このシチュエーションが大変良かった。
この作品はここ三菱一号館美術館が所蔵しており、そうであれば当然の如く、この作品を見せる為に設えられた部屋でもあり、それらの相乗効果がある為かとても良かった。思うに作品はやはりその美術館と言うか空間と共に1つとして観るのが1番だと思う。そんな想いもあってか、そう、昔マドリッドのソフィア王妃芸術センターで「ゲルニカ」を見た時と同じような衝撃 - グッと私の心の中の何かを直接鷲掴みにされるような感覚 - を久々に感じました。
帰りは東京駅周辺をぶらっと。先日のアーティゾン美術館はこちらと反対側の八重洲口側だったので、今回は正面から東京駅を鑑賞。こちらアムステルダムの駅を参考に作った駅で、以前アムステルダム駅を見た時は断然アムスの駅の方が素晴らしい!と思ったものですが、今の東京駅もなかなかの外観になりました。しかし、アムスの駅とは何かが違う気もする。それはやはり復元されたというか、どこか新しさが漂っているところとか、、だったりという事なのでしょうか。
帰ってきてまだ時間があったので、久々に多摩川へ
最近は日が沈むのが早くなったせいもあり、なかなか夕景を見ることができなくなっていましたが、久々に夕景も。
あんなに暑かった夏なのにそんな事はすっかり忘れていつの間にか秋に。季節は確実に日々進んでいるようです。