長崎の南、軍艦島を望む海水浴場

 長崎滞在中、時間が出来たので南の方 - 野母崎に行って来た。
 市内を南に走り、国道499号線を更に南に走ると野母崎に出る。

 とても暑いこの日、目指すは高浜海水浴場 - ここは小さい頃、家族でよく訪れた海水浴場で、遠くに軍艦島を望める。
 
 小さい頃は、そこに軍艦島が見えていたのが当たり前過ぎたのか、それとも大して興味がなかったのか(それなりに凄いなぁ、とか、本当に軍艦っぽいなぁぐらいは思っていたけど)、改めて高浜から軍艦島を望むとなかなかの絶景海水浴場である。

 もうあれから30数年、嘗ては夏の間だけ拵えてあるずらっと並んだ海の家や貸しボート、そんな昭和の海水浴場の姿はなく、ちょっと無機質なコンクリート造りの海の家が1つだけとそのお隣にカフェが1軒出来ていた。

 そんな光景に時代の流れを感じつつも、カフェで長崎人のソウルフード、トルコライスを頂いた。

 
 昔は家族ですいかを丸ごと1つ買って、すいか割りとして遊んでいたような光景は今はすっかり消え、風景はすっかり現代風でもあったが、綺麗な海は変わらずそこにあった。長崎の海はやはりとても綺麗で、しばし、夏を楽しんできた。

 そう言えば、幼い頃に、うちの父に「軍艦島には人が住んでいるのか?」と聞いた事があったけど、いつも答えは「もう人は居なくて野生のネコだけが住人だ。」というものであった。
 
 何年か前に軍艦島をツアーで訪れた時は残念ながらネコの姿は見かけなかった。 - ネコたちは観光客が居ないところでひっそりと暮らしていたのか、それとも最初から野生のネコなんてこの島に居なかったのか、あるいはネコだけ生きていくのを不憫に思った地元の漁師さん達が軍艦島のネコ達を引き取ったのか
 - それは今となっては謎であるが、軍艦島を見るといつも私はそんな軍艦島の住人について父と話した事を思い出す。

 国道499号線は夕日も綺麗なところである。訪れる際は夕暮れの時間帯もおススメである。運が良ければ、軍艦島の向こうに沈み行く夕日を見ることもできるかもしれない。

 帰り、車窓から盆提灯を飾り付けたお墓が見えた。長崎のお墓は他県に比べると大きなお墓である。お盆の時期は親戚みんなでお墓に集まり、盆提灯に明りを灯す。そして、お墓の前で親戚みんな、盆提灯の明りが消えるまでそれぞれに話をして楽しむのである。

 子供たちはと言えば、お墓の周りで、打ち上げ花火や普通の手持ちの花火をして遊ぶと言うのが長崎のお墓参りである。因みに私は大学で福岡に行くようになり、この時にお墓参り=花火というのが全国区の行いでないと知った。

 盆提灯を飾りつけたお墓の向こうには真っ青な海 - 実に長崎らしいお盆の風景が車窓の向こうに広がっていた。

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