- シェムリアップ州・シェムリアップ
2004年3月2日 - 日本を発って約4ヶ月目、ようやくアンコール・ワットを訪れるところまで来た。今回のアジア旅はインドとミャンマーは是非とも訪れたいと思っていたが、その他としてはカンボジアのアンコール・ワットは東南アジアの中でも特に見てみたい遺跡の1つでもあった訳で、何となしにここで旅の一区切りが付くような気分でもあった。
アンコール・ワットと聞いてみなさんが想像するあの仏塔が建ち並ぶグレーの寺院は勿論そうなのであるが、ここにはその他にも遺跡が沢山あり、それらを総称してアンコール・ワット遺跡群と呼んでおり、その事は私もこの地を訪れて初めて知る事となった。
その遺跡群は入域エリアと呼ばれるゲート内にあり、そこに入るにはチケットが必要になる。
- アンコール・ワット遺跡群はとても広範囲に広がっており、問題はどのようにして回るかだ。殆どの人がバイタク(バイクタクシー)を1日チャーターし、それで回っているようであった(値段は回るコースによって変わるようで5~10ドル程)。バイタクの運転手と1日行動を共にし、また翌日、そしてその翌日も、という具合に共に回り、日に日に運ちゃんと仲良くなりながら、効率よく遺跡群を巡っているような人が多かったように思う。
私はどちらかというと好きな時に好きな場所で立ち止まって写真なんかも撮りたいとも思うし、自由気ままに回れるという事で宿のレンタサイクルを利用する事にした。これだと1日借りて1ドルであり、お金も節約できるというものだ。
さて、シェムリアップに到着した日の翌朝、早速、宿のレンタサイクルで自転車を借り、一路アンコール・ワットへ。3月のカンボジアは乾季真っ只中。強い日差しが照りつけている。
宿から少しばかり走るとそこからアンコール・ワットまでへの道は1本道である。平坦な道を快調に進む。自転車で暫く走り進めるとチケットを確認するチェックポイントに到着した。当然この時はまだチケットは持っていないので購入しようとしたところ、係りの人が「ここではチケット買えない。ここから2キロほど戻ったところに左に曲る道があり、そこを進むと更にまた左に曲る道云々・・・そこで購入してくれ」との事。
・・・「そんな。。道案内も何も出ていなかったような。。」。とはいえ、そんな事を言っても仕方がないので暑い中を戻るしかない。
- 言われた通りに走っていると、大きな道へ出て暫く走るとまた係りの人が現れ「右へ右へ」と誘導され、高速道路の料金所のような建物があり、そこでチケットを買う事ができた。写真が1枚必要であったが、ただで撮ってくれた。
チケットは3種類あり、1日券が20ドル、3日券が40ドル、そして1週間券が60ドルであった。ここまで折角来たのだ。 のんびり歴史に浸る意味も込め、ちょっとお高いが1週間券を購入する事とした。
- 無事1週間券を購入し、来た道を戻り再度チェックポイントへ。ようやくそのチェックポイントを通過し、入域エリア内へ。
しばらく進むとアンコール・ワット周辺にあるらしきお掘りに出た。お掘りの中では子供たちが水遊びをしたり、側ではカップルが煌びやかな衣装を身に纏い婚礼の儀式のようなものを挙げている。
その向こう、アンコール・ワットの仏塔の先 - 尖塔 - がほんの少し顔を覗かせている。正面に回ると遠くにその姿がもう少しはっきりと見えた。やっとここまで辿り着いた。日本を出てから4ヶ月という長い月日を思った。
ー アンコール・ワットの正面にプノン・バケンと呼ばれる小高い丘に建つ寺院遺跡がある。後日、アンコール・ワットを訪れた後、その丘に登ってみる事にした。
酷暑の中の山登りはなかなかしんどい。しかし登りきると目の前に寺院遺跡が広がり、眼下には広大な森が遠く広がり、その先にアンコール・ワットが見渡せる。なかなかきれいな場所である。ここは夕日の名所となっているらしく、お昼過ぎの時間帯は夕日にまだ早いせいか人が全然居ない。
時折吹いてくる風が心地よい。
暫くはここで本読んだり、昼寝したりなどして過ごした(遺跡で本を読むというのもなかなか心地がよいものだ)。
アンコール・ワット遺跡群を管理してる「Apsara Authority」という職員の方々が各遺跡には沢山居るのだが、そのメンバーでもある1人の女性が私のところで近寄ってきて、暫くとりとめもない会話を始める。
今の時間帯はここを訪れる人も少なく彼女も時間を持て余しているようだ。暫く話したのち写真を撮らせて貰おうとお願いするが恥ずかしがってなのか、なかなか首を縦に振ってくれない。写真は諦め、暫く会話をし「それじゃ」と私が立ち去ろうとすると、私がプノンペンで購入した帽子を気に入ったのか、指差し、それを被るので写真を撮ってくれと逆に頼まれた。
遺跡の前に立ってもらい記念にパシャリと1枚撮影。なかなかいい写真が撮れたと思う。
- ある日の夜、宿で仲良くなった日本の旅人達とここシェムリアップにある北朝鮮のお店「ピョンヤン冷麺」に行ってみようという事になった。
お店はどの様なシステムになっているのかは謎であるが店員はすべて北朝鮮出身の女性らしい。各人それぞれバイタクに乗り早速お店へ - 店内はかなりの広さで100人近く入れそうな規模である。しかし、他にお客さんといったら我々の他には韓国人観光客と思われる10人程のグループが1組だけである。
我々4人それぞれ、飲み物とキムチ餃子(3.5ドル)を頼み、冷麺は7ドルと高いので1つだけオーダーし、みなでシェアする事にした。
食べ物の値段はかなり高い。しかし何といってもお目当ては店員扮する”喜び組”(なのか?)の唄と踊り。しかしお店に到着後、約1時間半が経過し夜9時頃になっても他に来店者はおらず、店内には唄も踊りもなく、しんとしたままだ。
試しに店員に「唄と踊りはないの?」と私の友達が聞くと、「お客が少ない時はやらない」とのこと。
うーむ、、そうなのか。。折角高いお金を払ってまで食事をしたのに残念だ。この日は平日でもあったので週末に来れば良かったかな、なんてみなと話していると、どういう訳か、突然どんどんとお客が来店し始めた。どうやら、遅い時間になってからみな来るようだ。
そして暫くするとお約束通り、喜び組によるカラオケと踊りが始まった。女性4人で並び赤いバラを一輪ずつ手にしての踊りはなかなか良く、店内は大いに盛り上った。
アンコール・ワット遺跡を回って夜は何故か北朝鮮のお店、と何だかごちゃまぜ感があるが、こんな過ごし方というのも実に旅らしい1日のヒトコマであったように思う。