コロナ禍で開催も危ぶまれ、スタートも延長に延長を重ね、どうなる事やらと思われた今年の中之条ビエンナーレ、無事10月16日(土)から開催されました。期間は11月14日(日)までなので正に今日で終了ですね。
関係者のみなさん、こんな大変な中無事開催して頂きありがとうございました!と先ずはお伝えしたいです。
さて、そんな訳で、今年は友達ともなかなか日程の調整付けるのも難しく結局のところ電車で中之条へ。前回は車だったので電車で行くのはお初です。
2年前、中之条駅を初めて訪れた際(2年前には駅にも作品があった)、「この線路はどこから来てどこへゆくのだろう?」と思ったものでしたが、その線路を使い上野発の草津2号に赤羽駅から乗り込み揺られる事約2時間、無事中之条駅に到着。なるほど、そうか、中之条へのアクセスは上野や赤羽からだと今更ながらに知りました。
天気は快晴。中之条駅に降り立つと2年前の9月にも咲き誇っていた赤いサルビアの花々が今回もお出迎えしてくれました。
懐かしさの余韻に浸りつつ・・・しかし、2年ってのはあっと言う間だとも思いながら駅前のロッカーに荷物を詰め込んで身軽になったところでまずはインフォメーションセンターへ。ここでチケットやら(今回は)ガイドブックも購入。
前回のインフォメーションセンターの建物は無くなっており今回はその斜向かい辺りにありました。よくよく目を凝らして見るとコンビニのヤマザキショップの看板をそのまま上から塗りつぶしたデザイン、なかなかお洒落でした。
さて。
腹が減っては何とやら、という事でまだ11時をちょっと過ぎたばかりであるが、先に何かお腹に入れておこうと思い、いつもの如く蕎麦屋へ。今回は駅から歩いて7,8分のところにある「そばきり 吾妻路」へ。開店は11時半かららしいがお店に到着すると既に何人か待っている。どうやら名前を書いて待つらしい。開店時間前という事だがこの人だかり、もしやここいら辺りでは人気店なのであろうか。
10分ほど外で待ち11時半になるとお店の人が順番に名前を呼び始め次々に入店。と同時に早くも満席になってしまい、11時半ちょっと過ぎに来た人ですら1時間待ちのように言われている。早目に来てよかった。
思えば弘前の蕎麦屋「高砂」でも同じように何気に開店前に行ったら、既に人が並んでいてこちらも開店と同時に何とか入れたという事を思い出したのだが、人々の蕎麦を食すぞ、という熱気はなかなか凄いものである。
しかし、この弘前の「高砂」や出雲の「荒木屋」などその旅先、旅先で美味しい蕎麦を頂く事が多い昨今。蕎麦は私の旅の裏テーマ的になりつつもある気がするのだが、この裏テーマの位置付けがいいな、と勝手に思っている。
蕎麦をメインにわざわざ遠くまで旅をする、というのも何か違う気もするし、そもそも「蕎麦ってのは近所にあるから蕎麦屋であって遠出して食べるもんじゃねぇ」と江戸っ子がいいそうな台詞も聞こえて来て、あくまでも蕎麦は裏テーマ、うん、やはりそれが何だかいい気がする。と独りごちてみたり。
そんな話はさておき、こちらの吾妻路さんでは、中太切りと鴨汁をオーダー。太切りが実に鴨汁に絡み合って・・といい感じのお蕎麦でした。あと、変り種としては蕎麦に岩塩を付けて食べてもよしという事で、幾つか岩塩を用意してもらいましたが、岩塩だけで言うとわたし的に気に入ったものを左から順に並べてみました。
お腹も満たされたところで、まずは市街地の作品巡りだ。今日1日は市街地を巡るだけの時間に割り当てる予定なのでたっぷり時間はありそうだ。前回よりも作品数は少なくなり、あとはコロナ禍を考慮してかウィンドウ越しに見る作品もあったりだけどなかなか楽しめる。なによりも前回回ったのは9月頭だったのだが、とっても暑く、今回は気候的には暑くもなく寒くもなく丁度よい天候であった。
博物館ミュゼでは屋外で不思議な球体の展示のみ。ここは前回は博物館の中の展示や博物館自体も見学したのだけど、その時に近くの方がハクビシンだかイタチの剥製を借りに来ていた事なんかを思い出した。たぬきだったかなぁ。
今回は屋外の展示1つのみだけだったけど、まぁ展示が少なくなった分、じっくりと見られる時間を持てるのはよかった。
博物館の次は「つむじ」と呼ばれる「ふるさと交流センター」へ。前回の話ばかりだけど、前回はここであまりの暑さに友達2人はアイスクリームなんかを食べていたっけ。私は今回コーヒーでも飲もうかと思ったが、もう少し作品を見てからまた戻ってこようと思い、ここはちょっとだけ見学して次へと向かう事にした。
お次は「旧廣盛酒造」だ。その名の通り元日本酒の酒造所。そういえば弘前でも旧シードル工場の跡地をうまくリノベーションした美術館にも行ったな、なんて事も思い出したり。ここでの作品は前回も面白かったのだが、(勿論今回は展示している作家さんは変わっているのだが)、今回もここはよかった。
西島雄志さんの作品を今回見たいなと思い、こことは違うエリアで展示されていると思っていたのだが、この酒造にも作品があって、何も知らずにいきなり作品と出会ったものだから、これはぐっときた。今回ポスターにも使われている「真神」という作品 - オオカミを神格化したもの - で、光の具合とでもいうか、展示の仕方もとても素敵な作品でした。
酒造の2Fにも沢山面白い作品があり、やはり市街地の中ではここが1番よかったかも。
ここまで見て残る会場は4箇所だ。写真は全エリア分、撮らなかったのですが、、「かたや裏の小屋」といういずれ解体されるという小屋をそのまま使った作品がよかった。2年前かな、瀬戸内にある高見島というところで、こちらは「いずれ」ではなく、「既に」解体された建物を使った見事なインスタレーションを見たのだが、今回も同じように消え行く風景の1部をテーマにした作品 - 高見島の作品といいここ中之条といい遠く離れた両地だけど、同じようなものをテーマに作品を作り私達の目の前に提示してくれる - 感じる事は人それぞれと思いますが - とても大事なテーマでもあり、作品もとってもよかった。
市街地での作品は全て見終わり、再び「つむじ」へ。建物内でも何箇所かでコーヒーを販売してたけど、ワゴン車のショップはやはり何かいいな、と思いこちらをチョイス。普段は高崎でワゴン販売をやったり焙煎の仕事をやっているという店主さん。ビエンナーレは好きなイベントなので期間中は中之条にやって来て、色んなエリアでコーヒーを販売しているらしい。なんか、自由でいいなぁと思ったよ。ワゴン車にもビエンナーレのポスターも貼ってあって、地元を愛しビエンナーレのファンの1人でもあるコーヒー屋さんでした。
大きな芸術祭となると体力勝負というか、やはり回る箇所も増え、ついつい色々と回りたくなって結局は疲れて、という事がよくあるので、そうならないように、作品を楽しみながらもその土地、土地でのんびりとした時間を過ごす、という事も心掛け私は芸術祭を楽しむようにしています。
前回もそうだったけど、今回も宿泊先は草津。「この線路はどこから来てどこへゆくのだろう?」の「どこから来て」の続きで今度は「どこへゆくのだろう?」という訳で中之条駅から更に列車に揺られる事約30分、「長野原草津口」駅へ。草津までは電車がないのでここからバスに乗る事更に15分ほどで草津へ到着。
よくよく考えてみれば(よくよく考えるまでもないが)温泉とアートを楽しめる中之条ビエンナーレってのは最高だと思う。
草津はいつ来てもやはりよいとこだ。標高が1,000mを越えているの為かやはりちょっぴり肌寒く、しかしその分綺麗な紅葉、そして湯煙がお出迎えしてくれました。