ナパ海(ハイ)での出会い - 香格里拉(シャングリラ)・中国 2005

 やって来ました中甸(ジョンディエン) - 因みにこの地はもうジョンディエンとは呼ばれず香格里拉(シャングリラ)という何だかちょっとばかしヘンテコリンな名称になっている。

 この辺りまで来ると雰囲気はもう完全にチベットだ。中甸(ジョンディエン)という呼び名も元はチベット語だと思うのだが、観光客誘致の為か、私が訪れる3年ほど前に呼び名が香格里拉(シャングリラ)と言う中国語名称?に変わり、街中も古い町並を蘇らせようと古城を絶賛工事中であった。

 香格里拉という呼び名も魅惑的で好きだという人にも出会ったけど、わたし的にはやはり元の名前の中甸の方がしっくり来る気がする。

 香格里拉は麗江からバスで僅か3時間半の距離で、標高は3,300mほどで、ここも麗江同様思ったよりは寒くないが、泊まった宿がホットシャワーが出ずに常にぬるま湯、という状態でそれはそれでちょっとばかり辛かった。

 香格里拉の街中から北へ5kmほど行ったところに松賛林(ソンツェリン)寺と呼ばれる雲南省最大のチベット寺院がある。見た目はなかなか壮大ではあるのだが、文革時に破壊され、その後再建された為か昨年訪れたラダックのチベット寺院などに比べると真新しい感じがするお寺であった。

 お寺の周りにはチベットの民族衣装を着た女性達が沢山おり、写真を撮影しようとするとお金を要求されるという、、何だかなぁというそんな寺院であった。

 そんな古くて新しい?!香格里拉であるが、毎日夕方5時頃になると町の中心地にある四方街と呼ばれる広場ではチベタン達が集い、軽やかな音楽と共に皆で輪を作って踊り(日本で言う盆踊りのようなゆったりとした踊り)が始まり、勿論誰でも参加可能なので、私も現地で出会った他の日本人旅行者たちと輪に加わり踊らせてもらったのだが、これはこれでかなり楽しい思い出になった。

 他の旅行者とも自然とここで毎日顔を合わせて踊りの輪に加わる - それが日課となった、そんな香格里拉での日々であった。

 ー ナパ海(ハイ)という名の大草原に行ってきた。見渡す限りの牧草地を海に見立てているのだろうか、草原だが”海”という名がつく。

 ナパ海は一応入場ゲートがあるらしいとの事だったが、入り口がよく分からない。この時、中国語の出来る日本人のSさんと一緒だったので、近所に住む人に聞いてみようという事になり近くに見えたチョルテン(仏塔)辺りをうろうろしていると小学生ぐらいの女の子に声を掛けられた。

 彼女はチベット人であったが中国語も話す事ができ(もちろんチベット語も話せる)話している内に、どういう訳か、彼女が住んでいる家を案内してくれるという事になった。家族みんなで住んでいるという家は思ったよりも大きく、中にも招き入れてくれ、入ってみるとやはり中も広く、TVやステレオセットなども一式あり驚いた。そして勿論チベタンの家らしく立派な仏教の祭壇も設えたあった。

 突然の訪問にも関わらず家族みんで歓待してくれ、バター茶とチベタンブレッド、そしてヨーグルトまでご馳走してくれた。

 その後、無事、ナパ海の入り口まで案内してもらい、無事中に入る事ができた。

 一面に広がる雄大な草原。そこではヤクたちが草を食み、近くの子供ヤクに手を伸ばすと、トコトコト逃げてゆく動きが何ともコミカルだ。そして遠くには山頂が雪に覆われた山々が広がっている。

 どこまでも広がる草原の中、上空を見上げるとチベットの祈祷旗 - タルチョ - が青い空にどこまでも広がっている。雄大なその景色に中にいると、自分という存在は何ともちっぽけな存在だな、なんて事を思わずにはいられなかった。