国道58号線を北上せよ ~ 沖縄最北端、辺戸岬を目指して

 奄美大島、与論島と巡り、今回の旅の終着点、那覇へ - 今回も昨年に引き続き那覇に住む友人が車を出してくれての旅 - 前回は沖縄の南部を主に巡ったので今年は最北端の辺戸岬を目指そうという事になった。

 それにしても5月初旬の沖縄はやはり天気がイマイチすっきりしない。辺戸岬まで天気がもってくれるといいのだが、、と心配しつつ那覇市内から沖縄の主要道路とも言うべき国道58号線に乗り、沖縄の青い海を左手に見ながら北へ北へと進む旅が始まった。

 浦添市、宜野湾市と無事に過ぎ数年前に訪れた今帰仁辺りを通過、遠くに古宇利島も見える。私が訪れた事がある北端はこの辺りなので、ここから先は未開の地だ。

 出発してから約1時間半後、長寿の村として有名な大宜味村に到着した。沖縄の地理に明るい方なら大宜味村と聞くとかなり北までやって来たというイメージじゃないだろうか。途中海沿いの廃校になった小学校を見学 - 当然中には入れないので、門の外からの見学になるけど、校舎に描かれた青色のシーサー(これは廃校が決まった時に記念として描かれたものであろうか?)が印象的な校舎だった。
 

 そこから更に国道58号線を北上し、国頭(くにがみ)村へ到着 - いよいよ、やんばるの森の領域だ。やんばるくいなには出会えるだろうか。

 お昼はまぐろを食べようと目当てにしていたお店に向かうも残念ながら定休日。それにしてもお店の周辺には青い海とのんびりとした芝生の空間が広がり、ここで魚を食べたらさぞ美味しかろうと思うが残念。いつかまた来よう。

 気を取り直し、ここから近くにある「笑味の店」という島野菜をベースに身体にやさしいご飯を提供してくれるお店に行く事にした。電話をするとこれからでも入れるという。

 お店は主要道路から少し入った場所にあり、辺り一面は山というか畑とでも言おうか、まぁのんびりした雰囲気のところで、お店の入り口は色んな花々で飾り付けられている。入り口には「完全予約制」の文字もあったので、今後もし行く予定がある方は事前に電話してから行ったがいいだろう。

 我々は「まかちくみそーれ」というランチを注文。こちら沖縄の言葉で「おまかせください」という意味らしい。その言葉通り、沢山の島野菜で彩られた生命力に溢れたランチで、おまかせして大正解だった。

 ここから更に58号線をしつこく北上する訳だけど、最北端手前、最後ちょっとだけわき道に入り坂を登って行くと茅打ちバンタという見晴台に到着する。

 風そよぐ眺望の開けた場所で、眼下に広がる東シナ海は絶景だ。青過ぎる青い海に寄せては返す波を見ていると時間を忘れるほど、ずーっと見ていられる、そんな場所だった。

 もうここまで来ると本島最北端の辺戸岬までは直ぐの距離だ。茅打ちバンタが割りとローカルというか全く観光地化されていないのに比べ、辺戸岬に到着すると少しばかり観光地化されている匂いがし、こちらは多くの人たちで賑わっていた。

 ここから遠く与論島も見えるという事で、私が滞在した南風荘を探し宿のおじちゃんとおばちゃんに手を振ろうと思ったが(勿論これは冗談でそこまで見える筈もなく)、そもそも曇り空に煙ってどこに与論島があるのかすら発見できなかった。

 その代わりと言っては何だが、ここ辺戸岬には与論島のマスコットの(白い鳥)の「かりゆしくん」の巨大オブジェがあり、この地がやはり与論島と深い繋がりがある事を感じさせてくれ、また与論島から来たばかりの私は懐かしくもあった。
 

 この辺りの岩々はサンゴ礁が隆起したものであろうが、見た目は溶岩の岩石のようでもあり、少し前に訪れた伊豆大島の三原山を思い出させてくれる。そして切り立った崖から覗き見える海岸は絶景そのものだ。

 海を背にお不動さんがあるのを見つけた。この地に何故お不動さんが?という気もするが、何か不動信仰でもあったのだろうか。
 いずれにせよ古くからこの地を守ってきたのであろうその姿は勇壮だ。

 一通り周辺を見終わったタイミングで遂に雨が降り出した。まぁぎりぎり何とか辺戸岬まで天気は持ってくれた訳だ。

 帰り途中もの凄い豪雨となった。ワイパーも利かない位の大雨で、やんばるくいな探索どころではなくなった。

 しかし、暫く走っていると雨も上がり一転爽やかな天気になり、虹が出ているのではないかと思い探してみたが残念ながら発見できず。

 夕方前に無事那覇市に帰り着き、夜は泡盛で乾杯。そう言えば今回の旅は奄美大島のあやまる岬から始まった旅だったけど、最後も岬で終わるという岬巡りの旅だった。

 那覇から始まる58号線は辺戸岬から先、海を越え更に奄美大島へと続いている。そう考えると今回の旅は58号線を北上しているようでありながら、その実、58号線を南下し岬から岬へと巡ってきた旅だったのかもしれない。泡盛片手にそんな事を思いながら、旅の最後の夜は更けていった。