アーティゾン美術館で「空間と作品」を観る、そして近頃よく行くJazz喫茶

 東京駅近くにあるアーティゾン美術館を訪れたのはもう4年も前の事だ。現代美術家の鴻池朋子さんの展示を観に行った訳だけど(因みにその時のblogはこちら)、あまりにもこの展示が素晴らしくというか、もうこれだけ観るのにパワーを使い果たしてしまい、同じチケットで常設展も観る事が出来たのだが、その時はパワー切れで、常設展はあまり頭の中に入って来なかった。

 パワー切れの中で観た常設展の印象もそうだけど、ここには沢山の素晴らしい作品があるのは知っていたので、いつか常設展だけゆっくりと観に行きたいものだと思いつつ、今回やっとその機会を得た。あれからもう4年も経ってしまった訳であるけれども。。。

 折角、東京駅に来たならば、駅近くにある私の好きなミールスを食べない手はない。ここには昔、ダバ・インディアというお気に入りの南インドレストランがあったのだけれど、駅前の再開発の波に飲まれあえなく閉店(とても残念だ)、、しかし、八重洲口の地下街にはもう1つ別の南インドのお店、エリックサウスがある。開店ちょい前の11時にお店に行ってみるともう行列ができていた。ここのミールスもやはり美味である。

 さて、お腹も満たされたところで、アーティゾン美術館へ ー 「空間と作品」という企画展が開催されているようだが、常設展だけ観たい旨、受付で申し出ると、何と今はこの企画展だけの開催中であった。

 HPにも常設展の事が書かれていなかったので、何となくそんな気はしてもいたのだが、、常設展は記載なくとも普通に観られるだろう位に軽く思っていたら、この時期は企画展のみとのこと。しかし、タイミング良く言うか、この企画展自体が、石橋財団(つまりはアーティゾン美術館)コレクション144点を様々な趣向を凝らし展示するという、いわばコレクションを活用した企画展であった。

 まさに一石二鳥というか、私が観たいと思っていた作品たちを用いての企画展であった。

 1階でチケットを購入し、その後6階へ ー ここは4,5,6階が展示会場になっており、1番上から階を下りながら展示会場を巡ると言う流れである。

 まず6階は「リッチなインテリアで見る美術品」 ー 自分が作品を購入するとしたら、どのような空間に飾るのか、と言うコンセプトの元、作品が展示されており、空間に設られたイスなんかにも座り、作品を鑑賞する事できた。

 「自分の部屋にこんな家具を置いて、壁にはこんな作品を・・・」と想像掻き立てられる展示であった。わたし的には、佐伯祐三さんの作品というか、空間がとてもお気に入りであった。自分の部屋をこんな空間にしたいもんである。

 5階は「絵の持ち主に思いを馳せる」 ー こちらの展示は、「嘗て誰がこの絵画を所有していたのか」や「誰から発注があって描かれたものなのか」、などをテーマに作品が展示されており、興味深かったのは、川端康成氏がかつて所有して床間(だったかな?)にずっと飾ってあった古賀春江さんの作品が2点ほどあり、これらがとても良かった。

 現在この作品はここの美術館が所有しているとは、さすがにいい作品を沢山お持ちでいらっしゃる。

 古賀春江さんの事は実はよく知らなくて、家に帰ってから調べてみたら、今まで結構目にした事ある作品がいくつかあった。いつか、古賀春江さん展をどこかでやってくれないかな。5階会場のメインビジュアルにもなっていて、とっても素敵な作品だった。

 最後の展示室4階は「絵の周辺(額縁)を愛でる」 ー 額縁に着目した展示が展開されていました。このフロアーでは今回是非とも観たいと思っていた青木繁氏の「わだつみのいろこの宮」も展示されていた。こちらの作品、実際に観ると”水の中”感がより表現されているのが分かり、今回観ることができて良かった。

 この写真じゃあまりというか全然伝わないかもですが、こんな作品です。

 それにしてもさすがは石橋財団、素晴らしい作品が他にも沢山ありコレクションしている展示だけで存分に楽しめた。これらの作品はまた別の企画展か常設展でも観てみたいものばかりであった。

 因みにこの「空間と作品」展は2024年10月14日で終了しています。

 最後は折角東京まで出てきたので東京駅周辺と丸の内ストリートギャラリーをぶらりと観て帰宅の途へ ー

 話はちょっと変わって、最近ちょこちょこ訪れている文京区白山にある、Jazz喫茶の「エラ&ルイ」さん。お店の名前はJazzファンならピンと来ると思いますが、エラ・フィツジェラルドとルイ・アームストロングから取ったもの。

 長年老舗のクラシック喫茶をやっていたお店がご主人がご高齢の為、引退することになり、こちらをあるオーナーさんが買い取って、Jazzをレコードで流すというお店に昨年(だったかな)生まれ変わらせたそうである。

 この手のお店は今まで行ったことないし、何か良さげと思ってもタバコの煙がモクモクだったりのイメージがあったのが、こちらは店内禁煙という事もあり、ふらりと出掛けてみたら、思いの外いいお店で最近のすっかりのお気に入りになってしまった。

 オーナーさんとは別にお店を任せられている店長さんがいるのだが、若干22歳という若さ。仕事の合間にさっとレコードを交換したり、料理や飲み物を作ったりととても忙しそうだ。

 話をしたら、何と沖縄の久米島出身とのこと&那覇の私が知っているお店のことなんかも知っていて、Jazzの話だけでなく沖縄話でもしばし盛り上がる。

 と言うことで、久米島仕込みのタコライスも頂いたけど、こちらもとっても美味しかった。コーヒーはサイフォンで淹れてくれるお店で、Jazzをレコードでゆっくり聴きたいという方、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。