与論島紀行・後編 ~ 百合が浜、銀座通り感謝祭

 与論島3日目 - いつものように早起きして島を散歩。と言っても今日は島の北側にあるトゥマイビーチまでバイクで行き、その周辺を歩こうかと思う。与論島をぐるっと取り囲むように島のあちらこちらにはビーチが沢山点在していて、あれもこれもどんなところなのか見たくてしょうがなく、とてもじゃないが、1度の旅で1つ1つじっくりと訪れ、そこに長く滞在することができない程の数だ。

 トゥマイビーチを選んだ理由は特にないのだが、映画「めがね」のロケ地にもなったところらしく、ひとまず綺麗なところだろう、とあたりを付けて行ってみることに。

 因みに与論島に行く前に「めがね」は観ておこうと思っていたのを与論島に着いてから思い出した始末であるので、今後この映画は与論島のおさらい的に観るとしよう。

 トゥマイビーチは白い砂浜が広がる小じんまりとしたビーチで先客の方が何人か居て、しゃがんで良く見ると浜のあちらこちらにヤドカリが沢山いる事なんかを教えてくれた。
 

 一旦宿に戻り、朝購入していたお弁当を食べ、自分でCoffeeを淹れたりしロビーで寛ぐ。今日、お昼は結局百合が浜に行く事にした。大金久海岸の沖合いに大潮の時にだけ出現する幻のビーチだ。

 前日に渡し船のチケットを購入し、その際、チケット係のおっちゃんに「12時位に船は出ますからぁ。まぁ11時とか11時半位にこの場所(チケットを売ってくれた海岸)に来てくれれば」との事だったけど、宿でゆっくりし過ぎて、到着したのは12時10分前。すると「もう船はさっき出てしまったよー」なんて事に。しかし、ビーチに出て左の方に行けば”三波丸”か”ちどり”って船体に書いている船がいると思うので、それを探してみてくれとのこと。

 言われた場所に行くと三波丸を発見。沖合いに居た三波丸の船長さんに小さなピンクのチケットを見せながら手を振っていると、船は浜に近づいて来てくれ、三波丸に乗せてもらうことができた。この船は百合が浜までは行かないらしく、ここから、更に少し先に停泊していた”ちどり”に渡してくれ、無事、百合が浜へ向かうことに。

 遅れたお陰、というのも何だけど、お陰で貸切り乗船の旅で百合が浜へ向かう事になった。

 10分弱ほど走り船は百合が浜へ到着 - 思っていたよりも人だらけだ。写真を撮ったり、波打ち際に座り半身海に浸かりながらといった感じで、みな思い思いに浜での時間を過ごしている。

 私も写真を撮ったり、時には泳いだりとなかなかいい時間を過ごす事ができ、渡しの船が3,000円とちょっとお高いが、次もし与論島に来た時には来られるか分からない事を思うと今回のタイミングでひとまず来る事が出来てよかった。

 渡しの船は幾つもの会社が運営しており、これは与論島の重要な観光資源の1つにもなっているようだ。浜での滞在時間もまちまちで、降ろしたお客さんを直ぐに乗せて引き上げてしまう船もある(他のアクティビティなどとセットになっていたりするのかもしれない)。
 私の場合は、乗ってきた”ちどり”もしくは”みちしお”どちらかに乗って帰れるということで、時間ぎりぎり - 粘って滞在は1時間半ほどだった ー まで滞在し、人が少なくなったところを狙って写真を撮ったりした。

 帰りも”ちどり”に乗船。百合が浜も良かったが、思うにこの行きと帰りの船の航行が実によい。エメラルドグリーンの海の上、風を切っての船でのドライブは実に爽快だ。
 下船時に今夜は与論一の繁華街、銀座通りで銀座祭りがある事を船長さんが教えてくれたので、夕方出掛けてみよう。

 浜に戻りに船長さんにお礼を述べ、シャワーでも浴びようかと思い歩いていると1本道を間違えていたみたいで行き止まりに出てしまった。そこはちょっとしたアスレチック場のようにもなっており、引き返そうとしたところ、そこを管理している男性に「おーい、おーい、こんにちは!」と声を掛けられた。

 実はこの日の前日に与論島で十五夜祭りが催されており、それを見に出かけたんだけど(こちらはまた別の機会にBlogに記事を書こうと思う)、そこで私は有料(500円)でテント内の席を購入していたのだけれど、その時に対応してくれた男性が今、声を掛けてくれた男性で、私の事を覚えていてくれたのだ。

 聞くと今現在、みなが遊べるようなアスレチック的な場所を仲間と作っているらしくハンモックもあるので、是非ゆっくりしてってください、なんて言ってくれたのでお言葉に甘えしばしの時間、ハンモックに揺られてきた。

 みんな本当いい人たちばかりだ、この島は。

 夕方、銀座祭り(正式には銀座通り感謝祭)が催されている銀座通りへバイクを走らせる - 今回は特に何も考えずに与論島に来た訳だけど、滞在期間中に十五夜祭りや百合が浜が現れる時期、そして、この銀座祭りの開催時期が見事に重なってくれ、これも何か今回の旅での縁を感じる。

 夜6時半頃に銀座通りに到着すると、通りは既に人でいっぱいだ。屋台が出たり、ヨーヨー釣りや射的のお店があったりと通りは大盛り上がり。それにしても凄い人出で与論島中の人が集まったんじゃないかというくらい。

 通りの中央辺りのちょっとした広場はステージになっていて、代わる代わる色んなショーを展開している。フラダンスだったり、地元の中高生達によるブラスバンドや大人達のバンド演奏などだ。

 そんな中、印象的だったのは、中高生のブラスバンドをバックに地元の方が唄われた『与論慕情』という地元の歌で、この歌はこの時初めて聴いたのだけど、与論に来て与論の唄を生で聴けるとは旅情気分を実に盛り上げてくれた。

 プロ顔負けの歌声で若い地元の女性が「夢にまで見た与論島~」と高らかに歌い上げ、その歌声が与論の高い空の中、どこまでも響き渡っていった。

 4日目、最終日朝 - この日は午後の便で那覇に飛ぶ予定だ。

 早朝の散歩、この日は私がいつも繁華街の茶花エリアに行く時に使っていた内周道路を西に向かって歩く。と言ってももの凄く長い道路でもあるので、途中わき道に逸れたりしての朝の散歩だ。

 暫く歩いているとどこかの玄関からひょっこりと子山羊が顔を出す。奥には母親山羊も居るようだ。写真を撮っていると1台の軽自動車が止まり、窓ガラスを開け何やら話し掛けてきた。中には1人おばちゃんが乗っていて、ちょっと遠くだった事もあり何を話しているかイマイチ聞き取れなかった。朝の挨拶か何かだろうか。

 小1時間程歩いて宿に帰り、朝食の席に着こうとすると、いつも宿のお手伝いに来ているおばちゃんに話しかけられ、暫く話していると先程の軽自動車に乗っていたのはこのおばちゃんだっと判明。いつも頭にスカーフを巻いて働いているので、その時は全く気付かなかった。2人で子山羊の話をしたりとひとしきり盛り上った。

 この日の朝の出会いといい、初日(私を驚かすかのように)背後から挨拶してくれた地元中学生の女の子達とのちょっとした出会いといい、やはり島旅は歩いて巡るに限るようにも思う。歩いてるからこその色んな出会いがあるというものだ。

 飛行機までの時間、最後ちょっとだけ島の西部にあるウドノスビーチへ

 ここは波も穏やかで泳ぐのにも良さそうだ。シャワーがないのが難点であるが、、次回訪れた際はここでのんびり過ごすのもいいかもしれない。なんて、早くもまた訪れる事を考える。

 それだけやはり与論島が良かったという事か。

 最後は宿の人に空港まで送ってもらい、来た時と同じ小さな飛行機に乗って那覇へ - 次回は船で訪れて船の上から与論島到着の感動を味わってみるのもいいかもしれない、そんな事を思った。