兵馬俑、そして始皇帝稜へ- 西安・中国 2005

 太原の宿をチェックアウトした後、駅に一旦荷物を預け日中最後の太原観光を済ませ、19時51分発の列車で一路西安へ。太原の駅の待合室、そして到着した西安の駅前にはとにかく人・人・人、と人だらけ。この時期の中国の駅前にはどんな理由かは知らないが、人民たちで溢れており、あの頃の中国を思い出すにつけ、この駅前の大量の人達は一体何をしている人達だったのだ?とよく思う。

 西安の駅を出るとすぐに城壁があり、それらがぐるりと街中を囲っておりなかなかの壮観だ。

 太原同様、日中の西安はもの凄く暑い。まさに灼熱である。とは言え、この時代の中国には気軽に入れるような喫茶店はなく大体の飲食関係のお店と言ったらご飯屋さんで、日本のようにちょっと涼を取りにカフェへという事もできず、チェーン店のマクドナルドやKFCでコーラなんかを頼んで休憩するしかないのだが、この手のお店は地元店に比べやはり飲み物代もそれなりに高く、日々なかなか困った。

 街中を歩くと時折ウイグル系の風貌をした人やウイグル料理店なんかも沢山目にする事ができ、正にここからシルクロードが始まるのだなぁと実感できる。

 毎日暑い暑いと言いながら部屋でゴロゴロしていても勿体無い、というか、西安まで来た意味がないので、兵馬俑と始皇帝稜へ行く事にした - 街中からバスで往復たったの10元(150円)と安い。

 稜とはお墓の事でここに始皇帝が眠っているらしい。兵馬俑が西安にある事は何となく認識していたが、そうか、当然だけど始皇帝のお墓もここにあるのだと改めて認識。始皇帝稜はちょっとした公園になっており墳丘の上からは緑豊かな見晴らしが広がっており、あの歴史で学んだ始皇帝がここに眠っているのかと思うと感慨もひとしおであった。

 後日、大雁塔へも出掛けてきた。ここは玄奘三蔵がインドから持ち帰った経典などを保存するために、建立した塔らしい。前回の旅では洛陽で玄奘のお墓も訪れているが、やはり洛陽、西安とこれら両古都を語る上で、玄奘は外せない人物であるらしい。それにしても大雁塔はよく見ると何だか傾いているようだ。

 夕暮れ時、夕食を摂るべく外に出るとどこからともなく二胡の美しい音色が聴こえてきた。中国では初めて聞く二胡だ。日本ではやはり日本の楽器 - 例えば琵琶や琴 - が似合うように、この二胡の音色というのは実に中国に合っていると思う。

 演者の周りには沢山の人だかりもでき、皆聞き入っている。私もその音色に耳を傾けると日本から遠く離れ、中国という土地をこうして旅しているのだなぁと妙に旅情をかきたててくれ、こうして旅の中に没入していくのであった。